【出店戦略のための商勢圏分析】

1、立地の基本条件
●立地の選定の目的

出店戦略を立てるためにまずやらなければならない事は、商勢圏分析である。そして商勢圏を分析すると言う事は、立地をマクロに捉えることである。

立地条件は、まずマクロな捉え方をしてから、次にミクロに捉えていく。

そしてマクロ的な捉え方が商勢圏分析であり、次にミクロな小勢圏分析に入っていく。

そう商勢圏分析といっても、その目的は立地選定なのだから、まず立地条件の原理原則を確認しておく必要がある。

《立地理論の基本》

①開店後10年以上にわたって
②十分な顧客を集めることができて、
③出入りしやすい敷地を求めること

こう考えると、立地選定あるいは立地調査という仕事は、未来を見る仕事だということがわかる。

他の仕事では過去の経験を蓄積すればわかることが多いが、立地選定や立地調査の仕事だけは、未来がわからないと結論が得られない。

立地選定については、2つの言葉を知っておく必要がある。1つの言葉は立地条件である。もう一つの言葉は敷地である。

立地とは、人口、道路、競争、と各商業施設などを含めた、商圏の条件を指す。

敷地とは、土地そのものである。そして、車が出入りしやすく、店舗を立てやすいことが、敷地の条件となる。

●立地条件の構成要素

立地条件を決める基本的な要素次の3つである。

①人口(購買力+求心力)
②道路(交通手段)
③売り場面積(商業中心性)

これに対して敷地とは、
①店舗用面積(敷地の奥)
②駐車場面積(敷地の前面)

ここで注意すべき事は、一般に物件といってるのは敷地そのものを指しているのであって、立地のなことではない。

立地条件が吉となって、初めて土地そのもの、いわゆる物件の良し悪しを判断できるのである。

●有利さの条件

実際に有利な立地を列記してみると次のようになる。

①サバブ
人口が十分で、かつ今後も増え続ける郊外の新興住宅地

・ダウンタウン(中心街)
・アーバン(郊外)
・サバブ(郊外からさらにその外側の新興住宅地)

②生活道路
どこからでも車が来られる
右折して入れる
大型トラックが少なく軽トラックが多い

③核店の存在
誰でもが集まってくる吸引力ある商業施設がある

④店舗前面駐車場
車時代のコンビニエンスを提供
競合より大きな駐車場確保

⑤ 真空立地
無競争状態
消費者がが待ち望んでいる

⑥独立商圏
購買力が流出しにくい条件
最初に出たもの勝ち

ここで1番大事な条件は⑤の真空立地すなわち、無競争状態である。

店舗飽和状態、あるいは店舗過剰のところに出店するのは最も下手のやり方。

無競争の立地に立地を選定し出店していくのが商勢圏戦略の出発点である。

2、商勢圏の変化

①顧客にとって便利な立地であると同時に、店側にとっても便利な立地である必要がある。

高速道路から新幹線による行動半径を計算して商勢圏を決めるべきなのだ。そしてこの場合は行政区域は全く無関係である。

《商勢圏として考えるべき要素》

①人口密度の高い地方であること
②世帯数激増地であること
③競争チェーンが出店していないこと

●あるべき商圏

①どの業種業態にとっても商圏をより小さくすることが商勢圏戦略より有利に導くことになる。そして多くの業態の実際の商圏は、多くの人が考えているもぐんと小さいことが多い。

②どの業種業態でも、商圏が非常に小さいと言う前提に立つと、立地選定は当然にきめ細かいものになってくる。そして10,000人とか30,000人圏内の生活道路が立地として浮かび上がってくる。

したがって、立地選定に成功する上で最も大事な事は、わが社のあるべき商圏をできるだけ小さく設定することなのである。

●小商圏主義が勝つ
損益分岐点の低い店づくりに徹すること

考える限り小さな範囲で自社の商圏を考えていれば、将来の競争相手に負けないことになる。

これに対して大商圏主義をとっていると何年か後には少商圏主義の店に包囲されてしまう。

多くの人が考えているよりも、本当の性格なの商圏というのは大変小さいと言うことを再確認しておく必要がある。

●山麓から出店せよ

①商勢圏戦略を進める上では、最初の出店地は、むしろ山麓に求めたほうが有利である。山麓または海岸とは商勢圏のいちばん外側の外側のことである。つまり出店は外側から内側へ向かって進めたほうが有利なのである

②山麓の奥の方からダウンタウンへとつなぐ幹線道路や生活道路が必ず見つかるはずである。

・この最大生活道路と生活道路が交差する角地が、立地として理想的。

・大商圏主義の場合は放射状の高速道路と環状高速道路の交差点を抑える。

このようした上で、後は順番に外側から攻めていくと言う二段構え、こうすれば、やがて小商圏主義に結びつく。